MPT

(1)個人的に特に役に立ったもの

①NCBEのMPT過去問 ★★★

・MEE同様、NCBEのオンラインストアで購入の上、2008~2017年の10年分、約40問を演習しました。(ダウンロード版は1回分15$。)
・なお、現時点では2009年2月試験から2013年7月試験まで計10回分の問題・解説が無料公開されています。

・演習方法としては、MEE同様、1周目は、以下作業を繰り返しました。
50分程度 問題文を読み、答案検討。
30分程度 解説を読む。
30分程度 解説をまとめつつ、自分なりの答案を作ってみる。
・解説を読んだだけである程度満足してしまいがちですが、実際に自分が本試験を受けているつもりになって、解説まで読み終えた後、理解した内容を自分なりに答案としてまとめてみるという作業が非常に有益だったと思います。
・2周目は、以下作業を繰り返しました。答案は40問全問作成しました。
40分程度 問題読み、検討。
40分程度 何も見ずに答案作成。
・MPTについては、慣れない間は、判例のパートを読み終えるのにかなり時間がかかりました。答案を書く際も、関連法令・判例・本件事実を抜き出して並べ直すので手一杯で、頭が混乱しそうになることもしばしばでした。
・NCBEの解説を読むことで、本番でどこが重視されているのか把握でき、有用だったとの点は、上記MEEと同様です。
・最初の頃は、解説を真似て、その内容を要約しつつ、自分なりの答案を作成するようにしていましたが、演習10問目を過ぎたあたりから、自分で答案作成できるようになりました。
・演習20問目を過ぎたあたりから、答案作成の流れが自分なりに定着してきて、余裕を持って臨めるようになりました。
・下記参考書(Gallagher)も参考にしつつ、自分なりに作成した対処法は以下のとおりです。
①問題・事実(Fact)・判例(Library)のパートまで一通り読み終えた時点で、関連する規範や事例判例を答案にまとめてしてしまう。
これだけで答案の骨格は概ね出来上がります。「書いている」というよりも、「抜き出している」、「整理している」という方が感覚として近かったです。
②後は、論点ごとに事実のパートから具体的事実を抜き出して答案に落とし込み、若干の評価を加える。
「事実に対する自分なりの評価」ということは、解説を読んでもそれほど重視されていないように感じました。それよりは、いかに多くの関連法令・関連事実を抽出し、整理できるか、の方がまずは重要であるように思われました。
③最後に結論を記載する。
・判例パートを読む際には、問題パートのポイントと繋げつつ、後でポイントとしてまとめて記載できるよう、読みながら整理しておきました。一度読み終わった段階で、再度後からポイントをつなげていこうとすると、二度手間となり、自分はとても時間が足りなくなるとの経験に基づくものです。
・規範要旨を作成後、事案から事実を落とし込んでいく作業のところは、逐一具体的な記載を資料から再確認して記載していくと、とても時間が足りなくなるため(特に検討要素が多い場合)、簡単な事実であれば、自分が読んで理解した内容を自分の言葉で記載する、複雑なところだけ事案を再確認しつつ書く、という使い分けをするようにしていました。
・最初の頃は最も恐れていたMPTパートですが、慣れてしまえば、実は一番の得点源とできる可能性が高いというのも教訓でした。
・日本人受験生の多くは、MBEパート(50%)で大量の得点を稼ぎ、MEE(30%)とMPT(20%)のパートで落ち込まないようにして合格するという方法論が多いかと思います。おそらくは、そのこと自体には(特に日本人の特性の一つとしての緻密さも併せ考えると)合理性が高いと思います。
・他方で、MBEに加え、MPTも得意科目にできれば、70%(MBE50%+MPT20%)の範囲を掌握できる訳ですから、合格を取りこぼすということもほぼなくなると思います。
・MPTの有利な点は、短時間で大量の情報を整理し、アウトプットできる能力・方法論さえ身に付いていれば、何らの予備知識も不要で合格ラインに到達できるということです。
・その意味で、私のような論文科目に不安がある方については、MPTの事前準備に関しては、(事前に1~2問検討した程度であると言わず、)事前に数十問程度を実際に答案作成してみると、有利なラインに到達できるかと思います。
・余談ながら、当事者から話を聞き、事実関係や関連する法令や判例を調べ、検討し、結論を出すというのは、実務にも非常に近いと思われました。演習を繰り返すたびに実務能力が僅かながらでも向上していくような気がして、個人的にも学習していて一番喜びが感じられたというのも、このパートでした。

(2)その他、有用だったもの
①BarBri MPT用問題集(個人的に解いたのは約10問)

②Mary Campbell Gallagher Perform Your Best on the Bar Exam Performance Test (MPT)

・MPTに対してどう取り組めばよいか分からない初期段階で購入・検討しました。
・慣れない間は、頭では理解できても、90分で1問をこなさなければならないとの時間の制約の中、複数の論点が事実・法令・判例中に絡み合って出てくるため、うまく対応することができませんでした。
・本書の主眼の一つは、複雑に絡み合ったそれら論点を整理し直していく方法論を教えるということにあったと思います。
・MPTの方法論を身に付けたい方は参照されるとよろしいかと思います。

(3)論文科目(MEE、MPT)全般
・前述のとおり、1回目不合格から2回目の合格までの本試験得点の伸びという意味では、択一科目(MBE)はあまり上昇しませんでしたが、論文科目(MEE+MPT)は約40点上昇しました。
・MBEについては、前述の受験者意見交換サイト等見ていても、過去問を重視するというのは、ほぼ受験者の間で定着してきているように思います。だからこそ、AdaptibarやEmanuelを多くの受験者が利用し始めているのだと思います。
・MBEで個人的に得点が伸びなかったのは、自分の能力・努力が足りなかったということが一番ですが、皆が十分対策をしているところを自分も同じようにやったところで、(自分では一生懸命やっているつもりでも、)さほどの効果となって現れてはこないという面も大きかったのではないかと振り返って思います。
・他方、論文科目(MEE・MPT)については、私のような人間でも40点アップを獲得できたことを考えると、過去問重視ということがまだ浸透していない面があるのではないかと想像します。
・それ故、この体験記を読んでいらっしゃる方々は今がチャンスと思います。
・MBEに関する受験者の動向から言っても、今後、受験者動向として、論文科目についても過去問回帰ということがほぼ確実に起こるのではないかと想像しています。
・問題検討を進めていく中で、何が評価され、評価されないかを把握するためには、実施団体が公表している解説を検討するのが最も間違いがないです。
・その意味で、論文科目でもNCBE過去問を重視する意義は大きいように思います。

次のページ

初出 2018年11月27日