前提として必要なスキル

1.全般
以下程度の知識・能力があれば、特に問題なくゴールまでたどり着けるように思います。

(1)英語:TOEIC800点程度
初歩的資格とは言え、米国の試験ですので、ある程度のスピードで英文を読める能力は必要です。
もっとも、大量の英文を読むことは特に苦にならないという人であれば、TOEIC800点程度を保有していなくても、今後勉強していくうちに必要な速読力が身に付いていくということもあるとは思います。
なお、必要なのは専らリーディング能力で、リスニング・スピーキング・ライティング能力とも要求される場面は特にありません(少なくとも試験上は)。

(2)会計知識:日商簿記2級程度
最低限の前提知識(貸倒処理とか減価償却とか)がないと、都度立ち止まって補充する必要が出てきますので、未習の方は先に日商簿記2級程度の会計知識をまとめて習得してしまうと有益かと思われます。
こちらも、都度補充していけば足りるとも言えますので、先に米国税理士の勉強から始めてしまうという手はあるかもしれません。

2.私の場合
会計・税務知識ゼロの状態から初めて、米国税理士の勉強開始に至るまでの変遷は以下のとおりでした。

2018年
・米国弁護士登録
司法試験に合格、弁護士登録したことで、ようやく「司法試験の呪い」から解放されました(日本の試験まで受ける元気はありませんでした)。
法律学の呪縛から解放されて改めて見直してみて、法律・法学分野の「粗」が見え始めるようになったのもこの時期でした(例:このビッグ・データのご時世に、主張したことの裏付けについてなぜデータに基づく実証をしないのだろうなど※)。
もう少しデータに基づく実証を伴った分野を追求したいという思いが芽生え始めました。

※もっとも、統計・データに基づく実証が不足しているというのは、法学だけでなく、少し前までの多くの学問に当てはまることですので、あまり法学だけを批判するのは不公平でもあります。これから、ビッグ・データの時代が社会を大きく変えていくということなのかもしれません。

同時に、社会生活・日常生活に必要な様々な基礎知識が不足していることに気付き、キャッチアップに走るようになりました。以下、取得した資格と役に立った教材につき、ご参考まで、紹介します。

2019年
・英検1級
旺文社『英検1級 出る順パス単』

英語力向上のために定期的にTOEICを受けていましたが、伸び悩み感が出て来たため、英検1級も受験しました。TOEICの定番英単語とはまた違った趣向の英単語を身に付けることができ、新鮮さと実力が伸びていく実感を持てました。TOEICで伸び悩みを感じ始めている方などにお勧めです。

・MyTutor『英検対策特訓ゼミ』
4スキル(リーディング、リスニング、スピーキング、ライティング)のうち、スピーキングだけは英語ネイティブの人などと実際に話し、フィードバックを受けるというプロセスを経ないと実力向上が難しいため、複数のオンライン英会話を調査の上、英検対策講座があり、かつ値段が最も安かったMyTutorを利用しました(当方が利用したのは30レッスン約2万円)。本試験と同様に、お題を受けて検討し、口頭で回答、改善点をアドバイスいただくという作業を繰り返しました。コストのかからないスピーキング対策を探している方にはお勧めです。



2020年
・証券外務員
ファイナンシャルバンク インスティチュート
『うかる!証券外務員 最速テキスト』
『うかる!証券外務員 最速問題集』

資産運用を始めるようになって、凡そ証券取引全般に関する知識が不足していることに気付き、至急学習しました。資格取得自体は容易ですが、基礎知識がコンパクトに凝縮されていて有用な印象を受けました。財務分析や証券分析の入門知識も出て来ます。そう言えば、ウォーレン・バフェット氏も「現代人は難しい理論を追い求め過ぎている」といった趣旨のコメントをしていたような。

・ファイナンシャルプランニング技能士2級
TAC
『みんなが欲しかった!FPの教科書』
『みんなが欲しかった!FPの問題集』

お金に関する事柄の基礎知識(保険、年金、金融資産、税金、不動産、相続贈与等)を一通り学べます。個人的には、金融資産、税金、不動産のパートが面白く感じました。なお、3級の教科書さえあれば、2級も取得できました。

・日商簿記2級
TAC
『スッキリわかる日商簿記2級 商業簿記』
『スッキリわかる日商簿記2級 工業簿記』
『スッキリうかる 日商簿記2級 本試験予想問題集』

仕事上、これまで会計知識の不足に目を瞑ってきたことを思い出し、学習・取得しました。
テンバガー(10倍株)発掘の基礎技術(財務諸表の分析力)を習得したいという邪な動機が日々の学習を進める推進力となりました。笑
(後になってそういう一攫千金を狙った運用をしてはならないと学びました。)

・USCPA(学習のみ)
アビタスのテキストを購入して、一通り通読しました。
特にBEC(管理会計、ファイナンス、経済学、IT等)が面白く感じました。
AUD(監査)にイマイチ興味が湧かず、結局受験には至りませんでしたが、REG(税法、ビジネス法)を学んだことで税国税理士に特化する契機にもなりました。
USCPA/米国公認会計士 国際資格 アビタス

2021年
・統計調査士
立教大学社会情報教育研究センター『日本の公的統計・統計調査』
日本統計学会『統計調査士・専門統計調査士 問題集』

統計系の入門資格ですが、実務知識(どこに何のデータがあるか)・データを読み取る基礎技術のおさらいという意味で、バランスが良かったです。短時間でサクッと取得できることもあり(準備に1か月もかからないと思います)、この辺りを再確認しておきたい方にはお勧めです。

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