インプット・知識整理教材

以下、インプット・知識整理教材で個人的に特に有用と感じたものを紹介いたします。
1.米国司法試験を受験する訳ではないが、米国法についてざっくり学習したいという方向け
(1)全般
・私が米国法の学習を開始して、最初に感じた困難の一つが、米国法の概要を効率的に把握できる教材(要点集のようなもの)が欲しいが、そもそも情報が少ないため、どこで何を入手すればよいかもよく分からず、学習素材の入手の段階で既に難しいということでした。
・そのような経験から、以下、私のようなニーズを持った方向けに教材紹介いたします。
(2)初学者向けテキストブック
ある程度きちんとした初学者向け教科書を読みたいという方は、定番であるWestのNutshellシリーズやLexisNexisのUnderstandingシリーズなどが良いかと思います。

(3)試験用教材
・「とりあえず概要・要点をざっと把握したい。その後で、専門書は必要に応じて読む」という(私のような)方には、以下で挙げている教材をお勧めいたします。
・いずれも米国弁護士試験用の教材ですが(除くアメリカ法ベーシックス)、要点がコンパクトにまとめられています。(分量も上記教材が1冊300~500頁程度あるのに対し、1科目30~50頁程度しかありません。)
・米国弁護士であれば大抵以下資料に出てくるような内容は前提知識として共有されているとの意味で、業界の前提部分の把握としても役立ちます。
・個人的にも、試験合格までに色々なテキストを読みましたが、振り返ってみて、特に実用性という意味で役に立ったのは、以下資料だったように思います。
・網羅性はある程度落ちてもよいが、米国法の概要を超カプセルサマリーでとりあえず把握したいという方でしたら、さしあたり下記「BarOutline」でも十分かと思います。
①49$と他の教材と比べても廉価ですが、全科目一式分入手できます。
②PDF等のファイル形式で入手できますので、ハードコピーの送付手続等も不要です。
③リンクを開くと、タイトルは「ワシントン州用」となっていますが、中身は統一試験として多くの州で行われるMBE・MEE用のものですので、実質全米共通の部分が吸収できます。(州ごとの修正部分についてはおって確認されれば良いと思います。)
④法律ごとにミニレクチャーのビデオまで付いています。

(4)日本語のざっくり教材
・まず日本語でざっと概要把握したいという方には、以下が良いかと思います。
・以下19章で構成されており、各法につき、全体の構成や主なポイントの概要を把握できます。米国の法律、米国の訴訟、契約法、売買法、担保取引法、事業形態、連邦証券法、コマーシャル・ペーパー、破産法、債権者債務者関係、代理法、雇用関係法、反トラスト法、財産法、環境法、不法行為法、製造物責任法、知的財産法、刑法

2.米国司法試験受験者向け
(1)個人的に特に役に立ったもの
①日本人合格者の対策ノート(CA州用) ★★★

https://www.dlmarket.jp/products/detail/309974
(従前、上記リンクから入手可能でしたが、現在はサービス停止中のようです。)
・いわゆる論証集。内容もかなりコンパクト。
・印刷、製本して、学習の際に常時手元において参照しました。
・書込み等追記することで、個人的なまとめノートとして最も重宝しました。
・問題演習や新たなテキストを読む際等に、本ノートの各論点とリンクさせ(問題・テキスト等に本ノートの該当ページ数を書き込み)、どの事項が問題になっているか意識し、体系的に知識が整理できるようにしました。
・記載されていない新たな知識等が出てきた際は、本ノートにメモを追記して補充し、知識が全体の体系の中に一元化されるようにしました。
・過去問演習の際には、本ノート中、出てきた論点の該当箇所に「MEE201502」等記載し、重要ポイントが分かるようにしました。
・試験直前期には、本ノートをベースに、特にMEEを意識して、試験本番で迅速に規範部分を書けるよう、さらに要約ポイント集を作成しました。
・また、当該ポイント集を音読して録音し、細切れ時間(通勤時間等)に常時聞くようにしました。
・CA州用ですが、Community Propertyのパートを除けば、WA州用(UBE用)としても不都合を感じることは特段ありませんでした。

②Critical Pass ★★

サンプルはこちら。

・上記①の補充教材として利用しました。
・米国司法試験受験者の意見交換サイト等も良く見ていましたが、特に評価が高い教材の一つであったように思います。
・中身をご覧いただければ分かりますが、暗記用のカード集とでも言うべきものであって、試験受験者向けに、「最低限これだけは覚えておきましょう」との趣旨で作成されたものと理解しています。
・順次読み進めていき、①の教材で触れられていない事項をピックアップして、理解・記憶するようにしました。
・特に、Real PropertyとCivil Procedureのパートが個人的には有用でした。
※購入先サイトではアメリカ国内の発送しか受け付けていない模様。どうしたらいいの?という方は、下記ご参照ください。

③BarOutline ★

・私はこちらを購入しました(WA州用、49$)。

概要はこちらで紹介されています。

・MEE対策として、手薄になりがちな分野(個人的には、特にSecured Transaction)の補充教材として活用しました。
・MEE用の補充教材として購入しましたが、「MEE Subject Outlines」だけ読んでも、内容がスケルトン過ぎて良く分からず、「MEE Subject Lectures」のパートで講義ビデオと同時に公開されているスクリプトの方が、文章の形になっており、学習には役立ちました。

(2)その他、有用だったもの
①BarBriConviser Mini Review
・いわゆるBarBriのミニ本です。
・上記ノートを利用開始するまで使用しました。
・表が多く、知識の整理に有効です。
・全部で700頁程度ですが(MBE科目約370頁、その他MEE科目約350頁)、Bar Exam対策としてはこの程度でも足りるかと思います。

②弘文堂 アメリカ法ベーシックスシリーズ

・特に樋口範夫教授の契約法、不法行為法が有用でした。
・必ずしもBar Exam対策に直接結びつくわけではありませんが、日本法と比較しつつ、考え方の違い等を解明されている点で、深い理解につながったように思います。

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初出 2018年11月27日